「ファイトケミカルを摂りましょうというけれど、どういう意味?」
「ファイトケミカルをそうして体にいいと言われるの?」
「どんな食べ物(野菜)に多く含まれているの?」
ここ最近、ファイトケミカルという言葉を聞く機会が増えたのではないでしょうか?
ファイトケミカルは、五大栄養素、第六の栄養素と言われる食物繊維に次いで、第七の栄養素として注目されています。
しかしながらファイトケミカルという言葉が身近ではなく、なんか化学的成分っぽいのかなというイメージを持ってしまいます。
今回は、そんなファイトケミカルを初めて聞く人にわかるようにやさしくお伝えしていきます。
最後まで読んでいただくと、ファイトケミカルが身近なものだと気付いていただくことができると思います。
ぜひ最後までご覧ください!
目次
ファイトケミカルとは?
ファイトケミカル(フィトケミカル)とは、野菜や果物に含まれている機能性成分で、フィト=「植物」、ケミカル=「化学成分」という意味を表します。
機能性成分とは、生きていくための必須栄養素ではないけれども、健康でいるために役に立つ機能的な効果が期待されている成分のことです。

ファイトケミカルは、野菜や果物をが紫外線や害虫などの有害なものから自らの体を守るために作り出されます。
具体的な成分には色素や香り、辛味、ネバネバなどがあります。
私たち人間はファイトケミカルを自らの力で作り出す植物とは異なり、ファイトケミカルを作る遺伝子を持っていません。
そのためファイトケミカルが必要なときに野菜・果物などの植物から摂取する必要があります。
ファイトケミカルは、必須である五大栄養素(糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)ではありませんが、健康を維持するにあたって、摂取したい重要な成分であることがわかってきています。
ファイトケミカルはどう体に良いの?
ファイトケミカルが私たちの体にどう良いのかという効果についてお伝えします。
ファイトケミカルの大きな役割は、抗酸化力です。
私たちが生きていくのに必要な空気には酸素が約20%含まれています。
酸素には、体内の物質と結合すると酸化という体をサビつかせる力があります。
呼吸によって酸素を体内に取り込むと、酸素の3%前後が通常の状態よりも活性化された活性酸素になり、活性酸素は通常の酸化よりも数十倍もサビつかせる力が強いです。
活性酸素が過剰発生でないときは、活性酸素が持っている毒性を利用して、細菌やウイルスなどを殺す免疫機能として働いたり、ホルモンを作り出すために手助けをしたりしています。
体に良い働きをする活性酸素ですが、日々の紫外線や、大気汚染、タバコ、ストレスなどによって過剰に作り出されてしまうことがあります。
過剰に生み出された状態を酸化ストレスと呼び、活性酸素の過剰発生は私たちの細胞を傷つけ、アルツハイマー病や生活習慣病、がんなどのあらゆる病を引き起こす原因となります。
私たちの体内にも活性酸素による体のサビを抑える仕組みがありますが、抗酸化力を持ったファイトケミカルを摂取することで、体がサビることを防ぐことができるのです。
ファイトケミカルと腸内環境の関係
ファイトケミカルを摂取することは腸内環境にも影響をします。
腸内に棲んでいる腸内細菌たちについてまずは知りたい方は、「腸内細菌の種類とは?」をご覧ください。
ファイトケミカルは抗酸化作用を持ち、活性酸素を除去するのを助ける働きがあることをお伝えしました。
ストレスや食生活の乱れによって、腸内環境のバランスが崩れたとき、悪玉菌が増殖します。
悪玉菌が増殖すると有害物質を生み出すようになりますが、そんな有害物質を無毒化するために活性酸素が増えます。
その際に腸内で活性酸素が増加し過ぎてしまうと、活性酸素が暴走を始め、通常の細胞をも攻撃し、傷つけてしまうのです。
活性酸素による暴走を抑えるには、いろいろな種類の野菜を食べることが大切です。
ファイトケミカルの種類について
次にファイトケミカルの種類について代表的なものを中心にお伝えします。
ファイトケミカルには、ポリフェノール、カロテノイド、含硫化物、テルペン(テルペノイド)、その他の大きく5種類に分類されます。
ポリフェノール
抗酸化力が強いファイトケミカルの代表がポリフェノールです。
赤ワインやブルーベリーなどに含まれるアントシアニン、お茶などに含まれるカテキン類、コーヒーに含まれるクロロゲン酸などがポリフェノールの仲間で、ヒトの体内で強い抗酸化力を持つことが知られています。
ポリフェノールの中でも代表的なものを3つ紹介します。
イソフラボン
イソフラボンは大豆に含まれているポリフェノール系のファイトケミカルです。
イソフラボンには抗酸化作用がありますが、その中でも大豆イソフラボンには「ダイゼイン」という成分が含まれています。
ダイゼインは腸内細菌によってエクオールという物質に変化します。
エクオールは卵巣から分泌される女性ホルモンであるエストロゲンに似た働きをし、更年期障害の抑制や美肌効果が期待できます。
アントシアニン
アントシアニンはブルーベリーやなす、黒豆などの紫色系統の野菜や果物に多く含まれるポリフェノール系のファイトケミカルです。
食品化学分野では、天然着色料として食品の着色にも用いられています。
アントシアニンの抗酸化作用はすでに知られていますが、アントシアニンが腸内細菌によって変化させられ、動脈硬化の進行を抑える作用があることもわかってきています。
カテキン
カテキンは緑茶や紅茶などに含まれる渋み成分です。
抗酸化作用に加えて、腸から糖を吸収することを抑え、血糖値の上昇を抑える働きもあります。
カロテノイド
カロテノイドは、黄色または赤色の色素で強い抗酸化作用を持ったファイトケミカルです。
水には溶けにくいですが、油には溶ける性質を持っています。
代表的なカロテンとして、にんじんに含まれているβ-カロテンやトマトに含まれるリコピンなどがあります。
含硫化物
含硫化物は、イオウを含む化合物で、香りや辛味成分を持ったファイトケミカルです。
大根やわさびに含まれている辛味はイソチオシアネート系の含硫化物で、玉ねぎやキャベツなどがシステインスルホキシド系の含硫化物です。
テルペン
テルペンは柑橘類やハーブ類特有の香りや苦味の成分を持ったファイトケミカルで、抗酸化作用以外に消化吸収を助ける働きがあります。
レモン・オレンジ・グレープフルーツなどに含まれているテルペンを「リモネン」と言い、ローズマリリーやセージなどに含まれているテルペンを「ジテルペン」と言います。
その他
そのほかにも以下のようなファイトケミカルがあります。
・β-グルカン:きのこ類
・ペクチン:りんご
・グルタチオン:アスパラガス
ファイトケミカルが多く含まれている食べ物は?
次にファイトケミカルが多く含まれる食べ物についてお伝えします。
野菜や果物の苦み、渋み、辛みや色素などがファイトケミカルです。
苦みや渋みなどを持ったものもありますが、色が鮮やかなものもあります。
ここでは特にファイトケミカルが多く含まれている野菜を紹介してから、色別にファイトケミカルが多く含まれるものを紹介していきます。
DPPHラジカル消去活性という抗酸化力を示す指標によると、緑の濃い野菜にファイトケミカルが多く含まれることがわかりました。
ファイトケミカルが多く含まれている食品を3つ挙げると、
①モロヘイヤ
②ブロッコリー
③小松菜
です。
モロヘイヤ
色 | 食べ物 |
---|---|
黒・茶色 | じゃがいも、きくらげ、しめじ |
紫 | なす、ブルーベリー |
赤 | トマト、トウガラシ、パプリカ |
緑 | ほうれん草、ピーマン、ブロッコリー、モロヘイヤ |
オレンジ | かぼちゃ、にんじん |
黄色 | とうもろこし |
白 | 大豆、玉ねぎ、ニンニク |
ファイトケミカルは数万種存在しているとも言われ、明らかにされていないものはまだ多くあり、これからの研究が期待されています。
ファイトケミカルの上手な摂り方とは?
ファイトケミカルを上手に摂るには、味噌汁やスープなどの汁物にすることがオススメです。
熱を加えるとファイトケミカルは自然に溶け出します。
生野菜ジュースとして摂取することの方が健康的に思われがちですが、実際には味噌汁やスープとして摂取する方が圧倒的に抗酸化力があります。
さらには生野菜サラダやジュースよりも、加熱することで量が減るため、摂取できる量が増えることも汁物として摂取することの良さでしょう。
おわりに
ファイトケミカルについて、お分かりいただけたでしょうか?
ファイトケミカルは抗酸化作用を持った第七の栄養素で、人間が体内で作り出せないけど、健康維持には欠かせないものなんですね。
私たちの身近ななすやにんじんなどにも含まれているので、ぜひ味噌汁やスープカレーなどを通して効率的に摂取しましょう。
野菜摂取で腸内環境を整えながら、活性酸素を除去して、健康な毎日を目指しましょう!
発酵のやすくん