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【アグクルファミリーに聞く!Vol.2】おりぜは私に「愛」を教えてくれた。

この連載は、アグクルに関わっている仲間(お客さん、メンバー)にフォーカスをした企画です。

アグクルとの出会いやアグクルに対する想いを中心に、そこから広がった仲間の想いをそのまま連載していきます。

連載を始めることになったきっかけは、「すべてに命や温かみを吹き込みたい。」と言う代表の小泉の想いからです。

今回の取材は、アグクルスタッフとして働く、宇都宮大学地域デザイン科学部3年生の佐藤綾香さん。

実は株式会社アグクルが設立される前から、活動には参加されていたとのこと。

現在スタッフとして、アグクル商品「おりぜ」のプロデューサーを務める佐藤さんは、どのような想いをもって、働いているのでしょうか。

自給自足への憧れからアグクルの田んぼに関わりはじめました。

最初はアグクル代表の小泉さんとの出会いでした。

1年生の頃に大学の活動の一環で参加したお食事会に、小泉さんがいらっしゃってました。

どんな方なのかも知らずに自己紹介をして、自分の将来の話をしたんです。

私、実は昔から、自給自足の生活をするのが夢で、イノシシを自分で捕りたいという想いから、高校では射的もやっていました。

その話をしたら、「これから耕作放棄地を復活させて田んぼを作ろうと思っているんだけど、一緒にどう?」と話がありました。

田んぼなんてまさに自給自足じゃないかと思って即答で「はい、ぜひ!」でした。

ミミズのように地道に関わることで、気付いたらそれが地域おこしにつながっている

宇都宮大学にD-friendsという地域おこしをテーマにしたサークルがあるんですが、私はそこに所属していました。

そこに、アグクルスタッフをしていた加藤誠二さんという人がいました。そういうご縁もありましたね。

私は月1回程度しか関わることができていなかったんです。

主に田植えや代掻きを手伝いました。

全部初めての経験で、土に触れているだけで楽しかったです。

なんだろう、こう普段食べているものができるまでの家庭に関われているというか、「生きているな」という感じがありました。

実は、小泉さんと加藤さんのこだわりがあって、農薬を使わなかったんです。

いわゆる自然栽培というものです。

病気になった稲もありましたが、ちゃんと育ったものもありました。

農薬を使わなくても育つんだ、とその姿を見て感動したのを覚えています。

それともう1つ、田んぼをやる過程で印象に強く残っている加藤さんの言葉があるんです。

「地域おこしはミミズのように」という言葉です。

ミミズって土をやわらかくしてくれる役割があるんです。

「地域おこし、やってます」とかじゃなくて、かたまった土をミミズがやわらかくしてくれるように、地域という土壌の中で、こりかたまってしまったその地域の中にある固定観念っていうものをミミズのようにほぐしてあげることで、地域は良くなっていくんだよ、ということだそうです。

「地域おこしのため」ではなくて、ミミズのように地道に関わることで、気付いたらそれが地域おこしにつながっている、というその考え方が、一番自然でしっくりくるなーと思いました。

無理がなくて、綺麗だなって腑に落ちました。ちなみに小泉さんのは、いっぱいありすぎて、今すぐには出てきません(笑)

ノートに書き留めてあるので、今度お見せしますね。

コメミツという挑戦が、アグクルに入るきっかけに

田んぼをやっている最中に会社が設立されました。

昨年の6月です。

その頃に小泉さんからインターンの打診がありました。

コメミツという、米を発酵させてつくる天然の甘味料があるのですが、それをつくるのを一緒にやらないかというお誘いでした。

面白そうだったのでもちろん一緒にやることにしたのですが、私のおじいちゃんが病気で食事制限があったので、コメミツができたらおじいちゃんに食べさせたいという思いもありました。

試作をいくつも作ったんですが、製造工程に必ず必要な麦芽がどうしてもできあがらなくて、そのおかげで製品化には至りませんでした。

夏休みの2か月間、週に1、2日ほど通いながらチャレンジしました。

製品化はできませんでしたが、その間ずっと近くに加藤さんがいてくださって、発酵のことや、物事の考え方をたくさん教えてくださって、とっても貴重な時間になったのは確かです。

夏休みでインターンは終わって、寂しい気持ちになってしまっていたタイミングに今度は小泉さんから「働かない?」と提案があって、本当に嬉しかったです。もう即答でしたね。

その時にはもう「おりぜ」という製品ができあがっていて、その製造をやってほしいとのことでした。

もちろん大学もありますし、他にも工場や介護のアルバイトもしていたので、大変ではありましたけど、アグクルの仕事は一度もイヤだと思ったことはないんです。

不思議と。

大学生の生活スタイルや学業を理解して融通をきかせてくれていたのもありますが、何より人が良かったんだと思います。

毎日楽しかったです。

わたし、おりぜに恋をしてしまいました。

実際におりぜの製造をするわけですけど、すでにレシピも完成しているので、それを学んで作るだけでした。

ただ、それが難しかったです。

加藤さんがとても上手で、私も同じ糀を使って、同じ分量で、同じ工程をふんで作っているはずなのに、絶対同じにはならなくて。

味もそうですし、パッケージングしたあとのその見た目も。

真剣にやっているのに、同じようにできなくて、悩んでいた時期もありました。

おりぜ製造に携わるようになって9か月が経ちましたが、同じにはならないです。

ただ、加藤さんがある時言ってくださったんです。

「自分のおりぜと同じにしようとしなくていいよ。あやかちゃんのおりぜをつくって」と。

それでスッと心が軽くなったのを覚えています。

加藤さんのようにはいきませんが、私は私なりに一生懸命おりぜを作っていたら、ある時ふと思ったんです。

「おりぜが可愛い…」って。

例えば、あまこうじであれば、お米を研いで、糀を入れて、発酵しているときにぐるぐる混ぜて、待って、できたらミキサーに入れて、加熱して…という工程をふむんですが、それがなんかこう、子育てしてるような感覚に変わってきたんです。

ある時一人で工場で製造をしていて、パッケージに入れたあとシールを貼っていたら「あ、なんかかわいい…」って気持ちになりました。

愛おしい…うん、なんでしょう(笑)

おりぜって、私の気持ちを全部拾っちゃうんです。

味に出るんです。

「おりぜってすっごい素直じゃん」って(笑)

加熱しているときにもプクプクするんですけど、それが喋っているように見えて、動画に撮っちゃうくらいです。

今はもう、加藤さんと同じもしくはそれ以上の想いをもって、おりぜの製造をできていると胸を張って言えます。

おりぜ製造と算数の九九がリンクしたんです!

おりぜから学ぶことも多いんです。

お母さんってこういう気持ちだったのかなと思うこともあります。

例えば、最初の頃、レシピ通りおりぜを作っているのに、全然発酵しない時があったんです。

確認したらやり方も同じですし、何が違うのかわからくて、不安になった時がありました。

「なんで同じようにできないんだろう」「なんで菌と結びついてくれないの?」って思っていました。

その時、スタッフに言われたんです。

「信じて、待ってみようよ」って。

それで素直に待ってみたんです。

そしたら何も手を入れていないのに、3時間後にはちゃんと糀になっていたんですよ。

私が一人で焦っていただけだったんだって気付きました。

私小学2年生の時に、掛け算の九九ががんばっても覚えられない時があって、先生にも

「私はみんなと同じようにあなたにも教えているのに、どうしてできないの?」

「私の教え方が悪いのかな?」

「それともあやかさんの頭がおかしいのかな?」って

とても責められたことがありました。

その時、連絡帳にもそのことが書かれて、親に知られてしまったんです。

内心ドキドキしていたんですが、母親はそれについて「やりなさい」と言うこともありませんでしたし、壁に表を貼ることもありませんでした。

何も介入せずに、ただただ私ができるようになることを信じて待ってくれていたんですよ。

そしたら、学校では全然できないのに、家ではどんどんできるようになってきたんです。

おかげで、テストの結果も良い感じでした。

これって、おりぜと私のことにも繋がってくるなと思いました。

信じて待つことの大切さを学んだんです。

おりぜは、可愛いですし、愛おしいですし、たくさんのことを学ばせてくれる存在です。

『おりぜの恋人理論』って知ってますか?

今はおりぜの製造だけでなく、おりぜを使ったお弁当販売もしています。

6月から始まりました。

私が発案したんです。

マルシェなどで出す機会も多いんですが、「これってどう使うの?」という声も多くて、そのまま見ただけで帰ってしまう方もいらっしゃるんです。

すごくもったいないなと感じていました。

うちのおりぜの良さを伝えたくて、もっとたくさんの人におりぜに出会ってもらうためには何がいいんだろうと考えて、やっぱり口に入れて「おいしい!」と思ってもらうことが一番だと思って、お弁当を始めることにしました。

小泉さんからはおりぜのプロデューサーをお願いされているんですが、前に丸1日おりぜの事だけを考えていた日があったんです。

その時に『おりぜの恋人理論』というものを考えたんです。

おりぜは製造中は私にとって子どもなのですが、パッケージに入ると、もう大人なんです。

成人するんです。

私の気持ちは変わらないんですが、子どもだったおりぜはそこで彼氏になるんです。

愛から恋に発展するんです。

私のように、おりぜに恋する人が増えればいいなと考えていて、例えばそれで週1はおりぜと会いたいなと思う人のためにブログを週1で書いたり、まず出会いを求めている人のためにマルシェなどに出店して、お弁当販売は固定の場所で売っているので、おりぜの家に遊びに来てもらうような、そんなイメージです。

完全に妄想です、これは(笑)

最終的には結婚式までもって行きたいんですよ。

今年の10月でおりぜが販売されてから1年が経つんですが、そのタイミングで結婚式をやりたいと思っています。

内容はまだ秘密です。

おりぜと出会ってくれたみなさんが一堂に会する場をつくりたいなと思っています。

最初の出会い、出会った初めの頃、お互いのことを深く知り好きになる、付き合う、大好き、ちょっとよそ見をする、振り向いてもらうために努力する、そんな流れを、事業に照らし合わせて、プロデュースしているんです。と

自信ありげに話ながらも私もまだまだで、すぐに1つのことに集中してしまうタイプなので、「木の葉ではなく、森を見てほしい」と小泉さんにはよく言われます(笑)

がんばります。

おりぜは私の夢を叶えてくれた、大切な存在

最近はSNSで発信すると、予約がたくさん入ったり、食べた方が「おいしかったよ」とわざわざ連絡をくださったりして、嬉しいことがいっぱいです。

この間なんか、あるお母さんが「私食べる前に子ども達が食べてしまったの」って教えてくれたんです。

私、子どもの舌って嘘をつかないと思っているので、すごく嬉しかったです。

あとはだんだん私の名前を覚えていて、呼んでくださる方も増えてきて、おりぜを通して私もたくさんの出会いやつながりが生まれてきているんです。

幸せですね。

10月の結婚式が本当に楽しみです。

今頭の中にある妄想を現実に落し込んで、今までつながってきた方と出会えて、また新しい何かが…ふふふふ(笑)

もっともっとおりぜがたくさんの人の手に届いて、そこで一緒に思い出を作って、新しいレシピという形だったり、別の形で教えてもらえたら、私はそれでもう最高に幸せです。

あ、あと私夢が叶ったんです。

コメミツの時はできませんでしたが、おりぜをおじいちゃんに食べてもらうことができました。

それも私が作ったおりぜを。本当に喜んでくれて、すごく嬉しかったです。

おりぜは私の夢を叶えてくれた、大切な大切な存在です。

この記事の書き手

土橋優平

取材執筆:NPO法人キーデザイン代表理事土橋優平

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